フランダースのカテゴリー分析

フランダースのカテゴリー分析(Flanders Interaction Analysis Categories)は、授業の雰囲気を分析するものです。フランダース(Flanders, N. A., 1972)によれば、授業の雰囲気は、教師の主導的な役割による社会的相互作用の結果です。生徒もまた、授業の参加者であり、教師からの働きかけを受けながら授業に一定の役割を果たしていることになります。

フランダースは、教師の生徒に及ぼす影響のパターン解明にあたって、教師の発言を直接的影響および間接的影響に区分しています。

例えば、「ドアを閉めてください」という教師の発言を例にあげてみましょう。もし、閉めるように名指しされた生徒が何かの学習活動をしていた場合、当然、生徒は学習活動を中断してドアを閉めにいくことになります。すなわち、このような発言は生徒の活動を直接的に制約するものと考えられます。

一方、次のように言うこともできます。教師が「みんな少し寒く感じませんか」とたずねます。これに対して、生徒が「少し寒いと思います。あのドアが開いています」と言う。そこで、教師が「そうですね。あのドアを閉めてもらいましょうか」と伝え、生徒が立ってドアを閉めます。この場合も、確かに「ドアを閉めてもらいましょうか」という教師の発言が含まれていますが、明らかに、前者の命ずるものとは異なります。後者の一連の発言は、教師が生徒に間接的な働きかけを行なっているものと考えられます。

教師によるこのような直接的影響および間接的影響に対して、フランダースは生徒の授業における態度を考えました。「ドアを閉めてください」という教師の発言に対して、生徒はそれを受け入れて、「はい」と言って閉めてくる。フランダースは、このような生徒の態度を応答と名づけました。授業において、生徒の応答という態度は、一つには、教師の発問に答える、あるいは、教師の指示に従うこととして現れてきます。もう一つには、生徒が進んで発言するという場合が考えられます。

以上のような教師の影響力と生徒の対応により、分析のためのカテゴリーが取り出されるわけです。分析のためのカテゴリーを下表に示します。

社会的相互作用分析のためのカテゴリー

授業の分析にあたっては、3秒を単位として、その間に見られる発言をカテゴリーにしたがって下図のマトリックスに記号化(コーディング)していきます。

マトリックス表

それでは、フランダースのカテゴリー分析で授業分析をすることによって何がわかるのでしょうか。それは、マトリックスに記号化した結果より、教授経験の差に応じて、授業において用いる教授スキルのレパートリーが決まるということです。

下図左は、熟練教師の授業分析の結果です。広い範囲にわたって教授スキルを用いていることが、記号化されるセル数やその広がり等によってわかります。また、下図右は、教育実習未経験者の大学1年生の場合です。「5講義→5講義」のセルに集中し、他の教授スキルに広がりが見られないことがわかります。

左:熟練教師のマトリックス表、 と 右:教育実習未経験者のマトリックス表